House of Noborigama / 登り窯屋根の家

 もうすぐ子育てが終わる夫婦二人がゆったり気兼ねなく過ごすためのワンルーム的住宅。

 敷地は秋田駅裏市街地の住宅密集地にあり、区画整理による全面的な道路拡幅事業が現在進行形で行われていた。
道路拡幅により敷地が削られ改築又は減築を余儀なくされた周辺住宅は、従前床面積を確保するため敷地境界ギリギリまで建てられ、同様に建てられた隣家側からは採光が確保できず、やむなく道路側にリビング大窓を設けたものの眼前に迫った道路からの視線を嫌がり一日中カーテンが閉め切られている状態が散見している。

このような敷地状況の中、
お施主様からの要望は プライバシーを確保しながらカーテンのいらない
『 日々のウツロイが感じられる開放的な暮らし 』がしたいとのことであった。

家の中にもう一つの 〈 気象環境 〉 を創る

今回計画では、
内外視線を巧く躱しながらもカーテンのないある意味ノーガードな窓を逆手にとり、内部空間に外的要因 〈熱・風・光・時間....〉を積極的に取り入れることで家の中に 〈 ウツロウ 外部的な気象環境のようなもの 〉 が発生していくイメージ。


原則として、

外部の気象環境を取入れそのまま快適側にネガポジ反転させた温熱環境を内部空間に生み出す天候のような室内環境づくり・・・・

言い換えれば 『  単純な原則でありながら多様性を伴った効果 = 《 Diversity Effect 》 』 を生み出すカタチづくり・・・・

そんな一連の思索の中で 〈 登り窯屋根 〉 状の家・・・が形成されていきました (※下図 FORMATION DIAGRAM 参照) 。

床下暖房による全館空調と、土間コンクリート・床材の蓄熱 による全館輻射暖房とする。 屋根高さは一定のため温度密度は一様とも言えるが散在していて空間全体を適温化するためには無駄なエネルギーを要する非効率的な状態(一般的な高気密高断熱住宅)。

屋根に高低差をつけ、重力を利用した温度密度の操作により、上のリビングエリア(第三窯)に行くほど早く適温化していく空間形状とする。その屋根形状により各エリアに適した温度分布を素早く構成させる効率的な状態。

風下(熱源部)下部に開口、風上に煙突を設け気圧差による全体換気を行う。最終地点(第三窯)のリビング大空間にはサイクルファンを設け効率的に集めた空気をかき混ぜる。さらに水廻りからの湿度を乾燥した対流空気におりまぜていく。家の中に快適でありながら変化に富んだ温熱環境〈気象環境〉のようなものが生まれてくる。

  • 床下暖房による全館空調と、土間コンクリート・床材の蓄熱 による全館輻射暖房とする。 屋根高さは一定のため温度密度は一様とも言えるが散在していて空間全体を適温化するためには無駄なエネルギーを要する非効率的な状態(一般的な高気密高断熱住宅)。

  • 屋根に高低差をつけ、重力を利用した温度密度の操作により、上のリビングエリア(第三窯)に行くほど早く適温化していく空間形状とする。その屋根形状により各エリアに適した温度分布を素早く構成させる効率的な状態。

  • 風下(熱源部)下部に開口、風上に煙突を設け気圧差による全体換気を行う。最終地点(第三窯)のリビング大空間にはサイクルファンを設け効率的に集めた空気をかき混ぜる。さらに水廻りからの湿度を乾燥した対流空気におりまぜていく。家の中に快適でありながら変化に富んだ温熱環境〈気象環境〉のようなものが生まれてくる。

『 家の中にもう一つの〈 気象環境 〉を創る 』

『 Create something like another weather inside house 』

●FORMATION DIAGRAM

●ACTIVITY OF NOBORIGAMA CHIMNEY

登り窯屋根の煙突は、

生活者のリズムに合わせ一日の中で・・・開いたり・・・閉まる・・・を繰り返す。

建築がまるで・・・

『 住み手の暮らしの呼吸に合わせ、周囲の温熱環境に反応する植物のような有機的な振舞いを見せます。 』


House of Noborigama / 登り窯屋根の家

用途   

 :

 専用住宅

所在地  

 :

 秋田県秋田市

構造   

 :

 木造 2階建

敷地面積 

 :

 167.98㎡ (50.75坪)

建築面積 

 :

 81.57㎡ (24.64坪)

延床面積 

 :

 144.86㎡ (43.76坪)